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晩酌宗旨替え

もはやもって春先の話ですが体を壊してしまった。ここ数年、この時季といえば急性皮膚炎や椎間板ヘルニア、厭世観の増長などなど、心身の不調に悩まされていたものですが、このたびはたんなる風邪。それでも気力体力の衰えが悪循環におちいったか、すっかり症状をコジらせてしまい、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎、痔疾、金欠などを次々に併発。都合3名の医者に処方された抗生物質その他錠剤をバリバリ食いながら、気分は終始曇り空でありました。自分は平生、好不調のバイオリズムが季節の移り変わりに敏感に反応するのですが、春がもっともダメなんだな。仕事柄、年度末に集中するハードワークの影響もあるだろうとは思う。今年の場合は難易度高めのイラスト制作の依頼があり、休む暇もなく没頭していたのです。タイトなスケジュールにも関わらず、自ら完成度のハードルを上げて臨んだおかげで新しい扉が開けたような感じはあったのですが、結句老体に鞭打ったツケが回ってきたという次第。それにしても風邪引くと長引くようになったな。日頃の不摂生で薬の助けがないとおもうように回復しない身体となってしまったようです。

実をいうと、体調を崩す直前、職場の健康診断があり、結果は1年前に比べて体重4キロ増、ぽっこりお腹が、4センチばかし膨らんでいました。腹囲1センチにつき1キロ増量という律儀な数値変動は、まぎれもなく加齢によるメタボリック現象であって・・・。コロナ以降、酒席での暴飲暴食も減り、ジジイになって素食を好むようになってきたにも関わらず、であります。肉体の衰えは知らないうちに進行しているのですな。昔のように食事に気をつけておれば特に運動をしなくても体型は維持できるという慢心もありました。もはや、五十路はイバラ道。新陳代謝が衰えてちょっとやそっとじゃ脂肪が燃焼しなくなったということです。正直な話この1年でズボンのウエストがキツくなってきたという自覚はありました。ココロ入れ替え腹筋や慣れないウォーキングなんぞも始めていたのだが、この程度の運動ではしょせん焼石に水。健康診断の結果はさもありなんというわけで。しかしながら先述した春先の体調悪化による禁欲生活が怪我の功名といえるのか、1ヶ月で体重はすっかり元に戻り、お腹周りもスッキリしました。このまま体型維持をこころみようと考えたわけですが、本音を言えば、これ以上の運動はめんどくさいし時間も取られる。禁欲生活から解放されて、酒・タバコも自制が効かず元の木阿弥。さて生活習慣を極力変えずに、持続するすべはないものか。自分なりの方便は、そんなズブズブの習慣もちょっとした趣向の変化によって劇的に好転することもよくあるだろうといった虫の良いものでした。盲点はある。ちょっと視点や角度を変えてみれば、どうにか!そこで俺は意を決して晩酌に飲む酒を変えてみることにしたのです。本気ならばいっそ禁酒すればいいのではあるが・・・。

振り返れば20年ばかり、自分は毎晩日本酒による晩酌を愛好していました。蔵元直送の地酒から、コンビニで気軽に買えるカップ酒まで好む日本酒党。日本人だから日本酒を嗜むことは正調と思っていたし、もっきりをチビチビ啜る、貧相なスタイルも自分の境遇に相応しい気がしていたもの。ポン酒という響きも可愛らしい。反面、日本酒は、酒の中でも糖質多めという話は小耳に挟んではいたし、太りやすい酒であることは酒飲み衆知の事実でありました。今まではそんなこと、とくに気にかけることもなかったのですが、こうなるといよいよもって知らんぷりもできない状況。実際血圧も高まっているのだし。糖質は中性脂肪の増加につながり、成人病を助長するという警告めいた言説に唸りつつ、いっそ晩酌の酒を糖質ゼロの蒸留酒、ざっと芋焼酎あたりに変えてみることにしたのです。これ自分にとっては趣向の変化というよりも宗旨替えともいえる思い切った転向なのですが・・・。どうでもいいが、蒸溜酒の中でなぜ芋焼酎が晩酌のポジションにおさまったか、そのわけですが。もともとさつまいも由来の独特の風味も好みだったのですが、家族でよく行くチェーン店の寿司屋から日本酒の熱燗サービスがいつのまにか消えたのがひとつのきっかけかな。そりゃどういうことか。

燗酒といえば、古来より陶製の渋い徳利にて提供されるのがスタンダードではありますが、この店の熱燗は、たとえばお彼岸に霊前墓前に供えてあるようなたぐいのガラス製の瓶に入った1合酒をまんま燗したもので、日本酒党の自分にとってその無造作ともいえるサービスは妙に頼もしく、ゆけば上機嫌で求めていたんですね。しかしながら燗酒というのはニーズもない上に手間がかかるのでしょう。そのうちドリンクメニューから熱燗の表記は消え、日本酒の提供は冷酒だけになってしまったのです。メニューから熱燗が消えたと知ったとき、腑に落ちない気分で俺は、あえて冷酒ではなく芋焼酎のオンザロックを頼んだんだな。無粋で邪魔くさいタッチパネルでもって。よるべない謀反気のまま焼酎を啜り、実感したのは・・・。自分それまで海鮮のお供には日本酒だっていう固定観念があったけども、そのとき芋、意外に合うじゃないって。それ以来、芋焼酎が、どこか気になる存在になっていたというわけで。なんでもないようなこと、なんでもない夜のことだけど。

晩酌についてはそれまで日本酒だと通常1日2~3合は飲むから、1ヶ月で一升瓶7~8本は消費している計算で、そりゃじっさい糖質過多だったのかもしれません。翻って糖質ゼロとはいえ焼酎はご承知の通り、アルコール度数が日本酒よりも高いので、ぞろ同じ調子で杯を重ねてしまうとアルコールの過剰摂取となるという按配で、これは注意が必要ですな。日本酒時代の習慣で湯呑みにストレートで飲んでいると知らぬ間に酔いが回りバタンキューなんてこともしばしばあって。これじゃあ糖質ゼロ戦略も、逆に健康リスク増大じゃないかと自重しつつも実際、酒の宗旨替えは効果的みたいで、いまのところメタボリック再燃の兆候はありません。さつまいもが原料だからでしょうか、便通もいいんだな。余人には急激な体重減少はなんかの病気じゃねえかって言われますけど、あまり気にしてませんよ。因果関係エビデンしてますから。そんなストイックで実証的な暮らしぶりですが、日本酒は宿業的に美味いので、つど自分へのご褒美として飲んでます。

垂涎や 一白水成 樽垂れの タレタレダレダレ お前誰。アテはしっとり北方ニシンの身欠なり。

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